皮膚科専門医に聞く乾癬治療乾癬治療の流れと
患者さんに大切にしてほしいこと

診断~治療を始めるまで 意見交換しながら、
一緒に
治療法を選択していく

4つの治療法

乾癬と診断したら、治療法を決めていきます。乾癬の治療は、以下の4つに⼤きく分けられま1)治療法を選ぶにあたって、乾癬のタイプや⽪疹ひしんの⼤きさ、⽪疹の出ている場所、重症度、関節症状の有無や合併症などの病気の状態、治療薬の特徴や他に使っている薬がないかなどを考える必要があります。さらに重要なことは、患者さんの⽣活環境や経済状況などについて、患者さんご⾃⾝の希望を聴くことで、皮膚科専門医と患者さんが協働して治療を決定していく、ということで2)

乾癬の治療法の大まかな分類は、塗り薬による「外用療法」、紫外線を照射する「光線療法」、飲み薬による「内服療法」、生物学的製剤による「注射療法」の4つです。

参考)「乾癬について知ろう」
乾癬の治療法

一緒に考えるということ

わたしは、治療法を選択する際には、皮膚科専門医が患者さんと⼀緒になって病気と向き合い、協働して治療法を考える「協働的意思決定(シェアード・ディシジョン・メイキング Shared Decision Making:SDMエス・ディ・エム )」を⼤切にしています。協働的意思決定とは、患者さん自身が選択可能な治療法を広く検討し、医療従事者と情報交換しながら、意思決定(治療法の選択)をしていくという⽅法で3)具体的には、まず、われわれ皮膚科専門医が、患者さんの乾癬の状態に適切と考えられる治療⽅法を提⽰し、それぞれにどのようなメリット、デメリットがあるのかなど、治療法の特徴をお伝えします。そのうえで、患者さんは、ご⾃分の社会的環境や家庭環境、ライフスタイルなどを考慮して、医療従事者と相談しながら、治療法を決めていきます。

治療を続けていくために

協働的意思決定では、患者さんと医療従事者の間に上下関係はなく、治療において合意することを⽬指す「対等なパートナー」となりま3)治療法を決めていく中で、「この治療はしたくない」「この治療はわたしのライフスタイルに合わない」「この治療はわたしの経済状況には合わない」というようなネガティブな気持ちがあったら、臆せず、素直におっしゃっていただくことが大切です。また、⼀度決めた治療法でも、途中で変更が可能ですから、あまり思い詰める必要はありません。治療を継続する過程で、期待したような効果が得られなかったり、つづけられなくなったりすることがあります。そのようなときでも、遠慮せずお伝えいただき、また別の治療法を⼀緒に考えることが重要です。

治療に前向きに取り組むためには、患者さんが納得して治療することが何より⼤切です。われわれ皮膚科専門医が持つ情報と患者さんの情報を共有し、コミュニケーションをとりながら、⽇々の⽣活の中でつづけられる治療を⼀緒に考えていきましょう。

  1. 1)飯塚 ⼀. J Visual Dermatol. 2017; 16:
    850-851.
  2. 2)古江 増隆編. 皮膚科臨床アセット. 第10巻. ここまでわかった乾癬の病態と治療.
    東京. 中⼭書店,
    2012.p208-225.
  3. 3)中⼭ 健夫編. これから始める!シェアード・ディシジョンメイキング,
    新しい医療のコミュニケーション, 第1版,⽇本医事新報社, 2017.
治療を継続するためにやりたいことをあきらめない、我慢しない
—“できること”を一緒に考えていく

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