皮膚科専門医に聞く乾癬治療乾癬治療の流れと
患者さんに大切にしてほしいこと

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医療法人社団 廣仁会 
札幌皮膚科クリニック 院長
安部正敏 先生
先生近影

初めて症状に気づいた時、乾癬の診断を受けた時—
何をすればよいのかわからなかったり、不安な気持ちになったりしていませんか?
ここでは、乾癬の治療の流れとポイントについてお話しいただいています。
ご自身に合った治療を見つけるために、ぜひ参考にしてください。

受信〜診断まで 「これってなんだろう」
—気になる症状があらわれたら、気軽に受診を

皮膚に何か症状があらわれたとき、“湿疹が出た”と軽く考えて、放置する人が少なくありません。しかし、皮膚疾患こそ正しい診断があって、正しい治療ができるものです。特に“乾癬”は、プロにしかわからない特徴もあり、お近くの皮膚科専門医ならほぼ正しく診断ができます。「発疹が治らない」「フケが出る」「⽖がボロボロ」など、少しでも気になる症状があらわれたら、「ちょっと相談してみよう」という気持ちで、気軽に相談してみてください。

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診断~診断を始めるまで 意見交換しながら、一緒に治療法を選択していく

乾癬と診断されたら、患者さんの状態に合わせて治療法を選択していきます。この際最も重要なことは、患者さんご⾃⾝が治療法を⼗分納得して開始することです。皮膚科専門医は患者さんがもつ乾癬の状態をお話しし、それに適した治療選択肢とその特徴をお伝えします。患者さんは、それを聞いて、どのような治療が自分に合っているのか、どのような治療なら継続できるのか、どのような治療であれば経済的負担を認容できるのか、などよく考えたうえで、治療を選択します。この際、治療法はその場で決めなくてもよく、いったん家に帰って家族とも相談したり、書籍やインターネットで情報収集をすることも大切です。なお、インターネットは医学的に正しいことが書かれてある、医療機関や製薬会社のサイトで情報を収集しましょう。時にインターネット上には利益目的のものや信憑性が低いサイトもありますので注意が必要です。

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治療を継続するために やりたいことをあきらめない、我慢しない
—“できること”を一緒に考えていく

乾癬患者さんには、⾷⽣活や飲酒・喫煙、感染症予防など、⽇常⽣活において疾患を悪化させないための注意点が多々あります。しかし、⽇々の治療をつづけていくためには、決して無理をしないことが⼤切です。「できない」「やってはいけない」ではなく、「できること」を⾒つけて、乾癬になる前の⽣活と遜色ない⽇常⽣活を送ることを共に⽬指しましょう。

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安部先生からのメッセージ 「自分に合う医療」を見つけることも大切

わが国において、乾癬は以前考えられていたよりもずっと多くの方が罹患している皮膚疾患と考えられています。しかし、その罹患率は欧米と比べ低いため、残念ながら本疾患の認知度は限りなく低いといわざるを得ません。海外では、街中に“乾癬用のシャンプー”の広告があったり、一般書店で“乾癬について”の書籍が手に入ったりします。疾患認知度が高いため、海外で“乾癬”といってもそれほど違和感を持たれないようです。日本で“私はアトピー性皮膚炎です”といっても、さほど違和感を持たれないようなものでしょう。他方、わが国でもSNSの発達は目覚ましく、誰でも容易にインターネット経由で情報を得られる時代になりました。これは非常に便利でいいことなのですが、時に皮膚に皮疹が出ると類似した写真をネット検索し、自己判断で治療するためとんでもないことになってしまうことがあります。実際、手に出た皮疹が、ネット上の写真で乾癬に類似していたという理由から、長らくハンドクリームをつけていたが治らない患者さんがみえましたが、皮膚科専門医がみれば一目で梅毒とわかる患者さんでした。この方は、長らく梅毒を放置していたため治療に手こずりました。お気軽に皮膚科専門医に相談していただければ、正しく診断し正しい治療が早期からできるのです。

乾癬治療は近年劇的に進歩しました。いえ、まだ進歩し続けています。今では、どんな患者さんにも、その方にあった治療がきっと見つかるはずです。治療を選択していくうえで重要なのは、患者さんの意思です。今の医療現場では、治療は患者さん自らが選択する時代です。皮膚科専門医の情報をもとに、ご家族、場合によってはセカンドオピニオンなどを経て自ら決定しましょう。決定には責任が生じます。“全然治らない”とおっしゃる患者さんが、塗り薬が面倒で全く使用していない、などという場面は多く、皮膚科専門医は悩みどころなのですが、“医師に言われたから薬を貰ってきたが、面倒なので使わない!”というのは一昔前の治療決定法です。今の医療で求められるのは良好なコミュニケーションです。もちろん皮膚科専門医を含めた医療従事者とのコミュニケーションは大事ですが、それ以外に、ご家族や友人とも良好なコミュニケーションを心がけましょう。乾癬を患うご主人の背中に、奥様が毎夜軟膏を塗ることだけでも、治療効果には大きく影響します。一人で悩んではなりません。まず、お気軽にご家族と共に皮膚科専門医に相談されてはいかがでしょうか?

受信〜診断まで「これってなんだろう」—気になる症状があらわれたら、気軽に受診を

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