医療費を軽減する制度
―自己負担限度額について―

  • 自己負担限度額は人によって違います
  • 自己負担限度額とは、1カ月に支払う医療費の限度額のことです
  • 自己負担限度額は年齢と所得によって決まるので、区分表で確認してください
  • 自己負担限度額がさらに軽減される、多数回該当というしくみがあります
  • 多数回該当とは、限度額が過去12カ月以内に3回を超えた場合、4回目から限度額が下がるしくみです
  • 医療費の負担がさらに軽減される
、世帯合算というしくみもあります
  • 世帯合算とは、世帯と公的医療保険が同じ場合、一定の条件で、1人あたりの医療費が限度額を超えていなくても、家族が支払った医療費を合算して高額療養費を申請できるしくみです
  • 不明な点は保険者や医療機関の受付、ソーシャルワーカーに確認してください

私の1ヵ月の自己負担限度額はいくらになるの?

高額療養費制度では、1ヵ月に支払う医療費の自己負担限度額(以下、限度額)が決められています。
限度額は『年齢』と『所得』により決められており、年齢は『69歳以下』と『70歳以上』の2つに分けられています。
(詳細は下表をご参照ください)

自己負担限度額がさらに減額される多数回該当ってなに?

69歳以下、70歳以上のどちらも、過去12ヵ月以内に3回以上、限度額に達した月がある場合は、4回目からの限度額が下がります。このしくみを『多数回該当』といいます。
多数回該当の場合も、限度額は『年齢』と『所得』によって異なります。

図:多数回該当の場合の高額療養費制度の還元イメージ

69歳以下の自己負担限度額

69歳以下の場合、所得によって5つの区分に分かれています。

適用区分 1ヶ月の上限額(世帯ごと) 多数回該当
年収約1,160万円〜
健保:標準報酬月額※183万円以上
国保:旧ただし書き所得※2901万円超
252,600円+
(医療費-842,000円)x1%
140,100円
年収約770万円〜約1,160万円
健保:標準報酬月額53万円〜79万円
国保:旧ただし書き所得600万〜901万円
167,400円+
(医療費-558,000円)x1%
93,000円
年収約370万円〜約770万円
健保:標準報酬月額28万円〜50万円
国保:旧ただし書き所得210万〜600万円
80,100円+
(医療費-267,000円)x1%
44,400円
〜年収約370万円
健保:標準報酬月額26万円以下
国保:旧ただし書き所得210万円以下
57,600円 44,400円
住民税非課税者 35,400円 24,600円
  1. ※1:標準報酬月額とは、事業主から受ける毎月の給与
  2. ※2:旧ただし書き所得とは、前年の総所得金額と山林所得、株式の配当所得、土地・建物等の譲渡所得金額などの合計から基礎控除(33万円)を除いた額
確認のしかた
  1. 『適用区分』の中から、自分の該当する年収区分を確認
  2. 『1ヵ月の上限額(世帯ごと)』の計算式にあてはめて計算する

70歳以上の自己負担限度額

70歳以上の場合、所得によって6つの区分に分かれています。

適用区分 1ヶ月の上限額(世帯ごと) 多数回該当
外来(個人ごと)
現役並み 年収約1,160万円〜
標準報酬月額※183万円以上
/課税所得690万円以上
252,600円+
(医療費-842,000円)x1%
140,100円
年収約770万円〜約1,160万円
標準報酬月額53万円以上
/課税所得380万円以上
167,400円+
(医療費-558,000円)x1%
93,000円
年収約370万円〜約770万円
標準報酬月額28万円以上
/課税所得145万円以上
80,100円+
(医療費-267,000円)x1%
44,400円
一般 年収約156万円〜約370万円
標準報酬月額26万円以下
課税所得145万円未満等
18,000円
(年144,000円)
57,600円 44,400円
住民税
非課税等
II 住民税非課税世帯 8,000円 24,600円 -
I 住民税非課税世帯(年金収入80万円以下など) 8,000円 15,000円 -
  1. ※1:標準報酬月額とは、事業主から受ける毎月の給与
確認のしかた
  1. 『適用区分』の中から、自分の該当する年収区分を確認
  2. 『1ヵ月の上限額(世帯ごと)』の計算式にあてはめて計算する

70歳以上の場合、外来のみの限度額も設けられています。
外来のみの限度額が設定されているのは次に該当する方です。

  • 適用区分が『年収約156万円~約370万円』の場合
  • 適用区分が『住民税非課税世帯』の場合
多数回該当を利用する際の注意点

70歳以上で「住民税非課税」の区分の方については、多数回該当の適用はありません。

ご自分がどこに当てはまるか不明な場合は、加入している公的医療保険(保険者)の窓口にお問い合わせください。

ポイント
  • 自己負担限度額は、『年齢』と『所得』により決まる
  • 『69歳以下』と『70歳以上』で金額が異なる
  • 自己負担限度額に達した月が3回以上ある場合は、4回目からの限度額が下がる

医療費負担をもっと軽減できないの?

高額療養費制度には、医療費負担をさらに軽減するしくみがあります。

医療費を合算できるの?世帯合算とは

ひとり1回分の医療費が1ヵ月の限度額を超えていなくても、同じ世帯で同じ公的医療保険に加入している家族が支払った医療費と合算して申請することができます。
合算した金額が限度額を超えた場合は、超えた分の金額が高額療養費として払い戻されます。このしくみを『世帯合算』といいます。

図:世帯合算のイメージ
世帯合算を利用する際の注意点
  • 世帯と保険者が同じ人同士の医療費のみ合算できる
  • 69歳以下の方の受診については、21,000円以上を自己負担した場合に合算できる
ポイント
  • 高額療養費制度には、医療費負担をさらに軽減するしくみとして、『世帯合算』がある

最後に・・・

医療費の自己負担限度額は『年齢』と『所得』によって決められており、その計算式は、『69歳以下』と『70歳以上』で異なります。
また、世帯間合算を利用する際、70歳未満の人と70~74歳の人が混在していると、計算方法が少し複雑になります。

ご不明な点があれば、保険者または受診した医療機関やソーシャルワーカーに確認するようにしましょう。