医療費を軽減する制度
―高額療養費制度の概要について―
高額療養費制度って何ですか?
病院や薬局などで支払う医療費が高額になった場合に、一部の払い戻しが受けられる制度です。
この制度では、患者さんの『年齢』と『所得』によって患者さんが1か月に支払う医療費の限度額(「自己負担限度額」と呼ばれます)が決められていて、それを超えた分について、払い戻しを受けることができます。
病気や怪我の治療、薬代などで月々の医療費がかさみ、家計への負担でお悩みの場合、この制度を活用してみましょう。
- ポイント
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- 自己負担限度額は、『年齢』と『所得』により決まる
どのような手続きをすればよいの?
高額療養費制度を利用するには、2つの方法があります。
- 1つめは、医療費を支払った後に行う『高額療養費の支給申請』という方法、
- 2つめは、医療費を支払う前に行う『限度額適用認定証の利用』という方法です。
それぞれに特徴がありますので、ご自身にあった方法を選びましょう。
1.医療費を支払った後に手続きする『高額療養費の支給申請』
医療費を支払った後に、高額療養費の支給申請をして、自己負担限度額を「超えた分」の払い戻しを事後に受ける方法です。
ひと月に支払った医療費のうち「超えた分」については、通常、加入している公的医療保険(国民健康保険や、会社の健康保険など)が払い戻しを行います。
そのため、医療機関や薬局の窓口で、請求された医療費をいったん自分で支払い、その後に加入している公的医療保険へ申請します。
この手続きをした場合、申請してからお金が戻るまでには、通常2~3ヵ月かかります。
2.医療費を支払う前に行う『限度額適用認定証の利用』
事前申請で「限度額適用認定証」を入手することができれば、窓口で支払う金額をはじめから自己負担限度額にとどめることができます。
医療費を支払う前に、加入している公的医療保険(国民健康保険や、会社の健康保険など)に「限度額適用認定証」の申請を行い、認定証を交付してもらう必要があります。
一時的にでも、高額な医療費を自分で支払うことが難しい場合に活用できます。
限度額適用認定証の申請はいつでも行うことができるので、外来受診や入院が決まる前に申請しておくとよいでしょう。なお、外来・入院を問わず利用することが可能です。
- ポイント
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- 高額療養費制度の手続きには、『事前手続き』と『事後手続き』の2つの方法がある
どうやって申請したらよいの?
申請は、事前・事後のいずれも、加入している公的医療保険が窓口になります。
ご自分が加入している保険者が不明な場合は、保険証に保険者の名称、住所、連絡先の記載があります。
また、高額療養費の申請手続きが必要ない公的医療保険もありますので、保険者にお問い合わせください。
高額療養費の払い戻し申請期限は、診察を受けた翌月初日から2年以内です。それ以降については払い戻しがされませんのでご注意ください。
- 【必要書類:以下の5点】
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- 領収書(事後手続きの場合)
→医療費を支払った際に医療機関や薬局から受け取ったもの - 保険証
- 印鑑
- 振込口座の情報
- 本人確認ができる書類
※必要書類については、不備のないよう事前に保険者へ確認しましょう。
- 領収書(事後手続きの場合)
- ポイント
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- 窓口は保険証に記載されている公的医療保険
- 高額療養費の払い戻しの申請期限は2年以内
どんなことに注意したらよいの?
高額療養費を申請する際の注意点は3つです。
- 「1ヵ月」とは毎月1日から月末の最終日までを指します。月をまたいで入院した場合、それぞれの月で計算されます。
- 保険が適応されないものは、高額療養費として払い戻される金額には含まれません。
- 高額療養費の申請には期限があります。診察を受けた翌月初日から2年以内に申請をしないと、高額療養費の支給を受けることができません。
最後に・・・
高額療養費制度の申請方法には、『事後手続き』と『事前手続き』があります。
ふたつの違いは、支払った後にお金が払い戻されるか、はじめから自己負担上限額だけ支払うかです。どちらの手続きをしても最終的に支払う金額は同じですので、どちらが得をする、損をするということはありません。
ご不明な点があれば、保険者、または受診した医療機関やソーシャルワーカーに確認するようにしましょう。