わたしの乾癬物語 CHAPTER 02 - 前編 どん底にいたから、
あとは上にいくだけ

わたしの気持ちと
ターニングポイント

診断されることが怖かった

子供の頃から、海が好きで、よく遊びに行き、真っ黒に日焼けしていました。19歳の夏のこと。短パンから出ている太ももあたりにポツポツと錠剤くらいの斑点があるのに気づきました。何かに刺されたのかな、とたいして気にも留めていなかったところ、だんだん大きくなって増えてきたのです。これまでに見たことのないブツブツで、気持ちのいいものではありません。「ひょっとしたらヤバい病気かもしれない」と思いはじめました。そう思うと、診断されることが怖く、病院に行くのをついつい後回しにしていました。そうこうしているうちにどんどん増えて、これはもうどうしようもない――と、初症状に気が付いてから3~4ヵ月ほど経って、ようやく近所の皮膚科を受診しました。

「一生治らない病気」
と診断

皮膚科の先生の診断は、「これは乾癬という病気で、一生治りません」。19歳の青年が、ある日突然、一生、皮膚の病気を抱えて生きることを告知されたわけですから、かなりのショックで、「本当にそんなことがあるはずない」と、とても受け止めきれるものではありませんでした。
後になって、患者会で他の患者さんから話を聞いたところ、いろいろな病院をたらい回しにされてなかなか乾癬と診断がつかなかった方も多いことがわかりました。いきなりでも、すぐに診断がつくほうが、まだよかったのかもしれませんね。とはいえ、その時の絶望感は相当なもので、私の話を聞いて、「ちょっと、それはキツイな・・・」と、共感してくださる方もいました。
その皮膚科で最初に出された薬は、一番強いステロイドでした。「これしか効きません。他に治療法はありません」と、1日1回塗るように言われました。毎日、使いましたが、塗ったからといって目に見えてよくなるというものでもありません。よくなったり、悪くなったりを繰り返すばかりで、治療意欲がわきませんでした。薬を塗るだけでも時間がかかり、大変なわりに効果をなかなか実感することができませんでした。どちらかというと、だんだん悪くなっていったため、3年くらい続けたところで、先生に相談してみました。すると「飲み薬がありますが、試してみますか?」と勧められ、使いはじめましたが、私には合っていないかったようで、改善はみられませんでした。

ある日、治療を諦めた

その後もかゆみは増していき、10円玉くらいの大きさの発疹がほぼ全身を埋め尽くしている状態になってしまいました。仕事は続けたかったので、なんとか治そうと、病院を数ヵ所変え、入院も何度かしてみたものの、改善することはありませんでした。
そうこうするうちに、それまできれいだった顔や手にも発疹が出てきて、人の視線が気になるようになりました。鱗屑がポロポロ落ちるのも、それに拍車をかけました。
一番仲がよいと思っていた職場の同僚に、陰で「あいつ、気持ち悪いな」と言われていることを知ったときは、特にこたえました。結局、仕事はやめてしまいました。
通勤の必要がなくなって一旦、家にこもると、病院へ行くことすら億劫になり、通院もしなくなりました。少しでもよくなりたいという意欲がなくなって、諦めてしまったわけです。

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