わたしの乾癬物語 CHAPTER 01 - 前編 治験での新薬との出会いが
希望につながった

わたしの気持ちと
ターニングポイント

最初の異変は手の爪から

最初の異変に気付いたのは、20代終わり頃です。手の爪が変形し、分厚く盛り上がってきたのです。すぐに足の爪にも同様の症状があらわれるようになりました。当時、仕事でイベントポスターの掲示などを行っていましたが、ポスターを留める画びょうを爪で取ることができないため工具を持ち歩かなければならず、「不便だな」と思っていたのを覚えています。手足20本すべての爪に症状があらわれた頃には全身の皮膚にも皮疹ができて赤くなり、鱗屑(りんせつ)も伴うようになりました。けれどもその頃は病気の知識がなく、「皮膚の病気なんて、いずれ治るだろう」くらいに軽く考えていました。

診断を受けたときはショックで会社に戻れず

私が乾癬と診断を受けたのは、確か1988年、30代半ばのことでした。 当時、私は営業の仕事をしていたので、人に会う機会が多くありました。名刺交換をすると、相手の視線はどうしても指先にいきます。「その爪どうしたの?」と聞かれることも多く、次第に初対面の人と会うことが億劫になり、名刺交換が苦痛に感じるようになりました。
そのような日々のなか、ある方より「勤務地の近くに有名な皮膚科の病院があるから行ってみたら」とすすめられ、初めて病院を受診しました。すぐに「尋常性乾癬」と診断され、「これは治らない」と言われたことに大きなショックを受け、医療が進歩しているなかで、治らない病気がまだあるのだと愕然としたことを、今でも覚えています。その日は会社に許可をもらって病院に行き、昼には帰社する予定でしたが、ショックのあまり、会社に戻ることができませんでした。その翌日、会社の同僚が乾癬について調べてくれて「田中さん、大変な病気ですよ」と教えてくれましたが、診断されたときの私は乾癬という病気すら知りませんでした。

大学病院に紹介されて
治験に参加することに

最初に受診した病院では、飲み薬や塗り薬などが処方されました。しかし、体の部位別に塗り薬を変えたり、擦らないように塗ったりするなどの細かい指示をなかなか守れなかったこともあり、あまり効果を感じられませんでした。その後、自宅近くのクリニックに変わりましたが、そこで処方してもらう薬にもあまり効果を感じられず、通院が途切れがちでした。

やがて、そのクリニックの先生の手に負えない状態であるからと、大学病院を紹介されたのです。
初めて大学病院での診察を受けたとき、先生から「この状態はひどいよ。治験を受けてみませんか」とすすめられました。はじめのうちは、治験に対してよいイメージを持っておらず、前向きではなかったのですが、先生の説明を受けているうちに「乾癬は治らない病気と聞いていたけれど、新しい薬が開発されているんだ。治るかもしれない」と望みが出てきて、治験に参加することにしました。

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