乾癬の治療法
乾癬の治療法には、皮膚症状が出ている部分に対して行う「局所療法」と、体の中の炎症をしずめる「全身療法」があります。局所療法は外用療法(塗り薬)と光線療法(局所照射)、全身療法は内服療法(飲み薬)と光線療法(局所照射以外)、注射療法(生物学的製剤)です。
乾癬の治療法
乾癬の症状や範囲、患者さんの生活習慣や希望などさまざまな条件を考慮して、最も適した治療が決定されます。
外用療法(塗り薬)
塗り薬を患部に直接塗ります。塗り薬にはステロイド外用薬とビタミンD3 外用薬などがあり、症状に合わせて併用することもあります。
- ステロイド外用薬:皮膚の炎症を抑える
- ビタミンD3 外用薬:皮膚の細胞の過剰な増殖を抑える
- 配合外用薬:薬剤の特徴を考慮して複数の軟膏が配合されたもの
光線療法
光線療法では、患部に紫外線を照射します。治療に用いられる紫外線(UVAとUVB)には、皮膚の炎症や過剰な増殖を抑える効果があります。
内服療法(飲み薬)
局所療法を行っても十分な効果が得られない中等度~重症の患者さんには飲み薬を服用します。内服薬には以下の種類があります。
- ビタミンA誘導体:皮膚の細胞の過剰な増殖を抑える
- PDE4阻害薬:免疫細胞のはたらきを抑え、皮膚の炎症を正常化する
- 免疫抑制薬:免疫細胞のはたらきを阻害し、炎症を抑える
注射療法(生物学的製剤)
炎症性サイトカインのはたらきを阻害し、乾癬の症状を抑えます。生物学的製剤による治療は、患者さんの症状や治療目標などを考慮して処方されます。
生物学的製剤には作用のターゲットとなるサイトカインによって複数の種類があり、現在日本では、以下のサイトカインのはたらきを阻害する製剤が使用可能です。
生物学的製剤の種類
- 生物学的製剤は、日本皮膚科学会に使用を許可された施設でのみ処方が可能です。
- 乾癬生物学的製剤使用承認施設はこちら(外部サイトへ)
治療中は感染症に対する注意を
飲み薬や生物学的製剤の中には、使用することにより免疫システムが抑えられるため、感染症にかかりやすくなることがあります。そのため、これらの薬で治療する場合には、マスクの着用やうがい・手洗いなどの感染予防を徹底することが大切です。